日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
研究報告
農村過疎地域における在宅介護の実態
性差による介護サービスの満足に関する要因
中田 久恵仲根 よし子大槻 優子
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 67 巻 5 号 p. 577-

詳細
抄録

 本報告は,農村過疎地域における在宅介護の実態として,介護サービスの満足に関する要因を,介護者の男女差の視点から明らかにすることを目的とする。調査は,在宅で65歳以上の方を介護した経験がある方を対象に,無記名式質問紙を用い行なった。調査内容は,対象者の属性,介護サービスに関する内容(介護保険制度,使用している介護サービスの種類,要介護度),介護サービスの満足度と満足に関する記述内容である。介護サービスの満足度の有効回答数は130名で,女性78名,男性52名であった。介護経験者の年齢は,60歳以上が71.6%であった。介護サービスの満足度の結果は,介護者の52.3%が利用した介護サービスに満足していた。性別と満足度の関連性はみられなかったが,満足に関する自由記述内容を質的に分析した結果,女性介護者は【介護からの一時的な解放】【サービス提供者間の連携】【サービス資源の充実】,男性介護者は【政策への不満】【経済的負担】のカテゴリーが抽出された。また,女性介護者,男性介護者の共通のカテゴリーとして,【状況・状態にあったサービスの提供】【心遣いのある対応】【介護者(家族)の安心感】【ケアマネジャーの力量】の4つのカテゴリーが抽出された。介護サービス提供に関わる専門職者は,介護サービスの提供において性差の特徴を踏まえた支援が重要であることが示唆された。

著者関連情報
前の記事 次の記事
feedback
Top