日本農村医学会雑誌
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原著
子宮頸がん検診におけるHPV併用検診の有用性
5年間の由利本荘地区におけるHPV併用検診の結果から
軽部 彰宏齋藤 史子設楽 明宏中村 恵菜実金森 勝裕髙橋 瑞紀池田 梢川名 由佳
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2019 年 68 巻 1 号 p. 18-25

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抄録
 平成24年度より由利本荘地区(由利本荘市・にかほ市)で,20~49歳の女性を対象として子宮頸部細胞診にHPV検査を併用したHPV(human papillomavirus)併用検診が開始された。平成28年度までの5年間で3,581名がHPV併用検診を受け,369名(10.3%)がHPV検査陽性であった。細胞診あるいはHPV検査が陽性であった433名の中で,342名(79.0%)に対して組織診が行なわれた。今回報告したHPV併用検診で,子宮頸がん検診の発見目標とすべきCIN2(cervical intraepithelial neoplasia)以上の病変は62名(18.1%)に発見された。細胞診は正常であるがHPV検査が陽性で組織診を受けた204名の中に,18名のCIN2と6名のCIN3以上の病変が存在していた。従来の細胞診のみによる子宮頸がん検診のCIN2以上の発見率は0.58%であったが,HPV検査を併用することで1.73%までに向上した。子宮頸がん検診の精度向上と子宮頸部病変の早期発見のために,HPV併用検診を積極的に取り入れていくべきと考えられた。
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© 2019 一般社団法人 日本農村医学会
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