日本農村医学会雑誌
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症例報告
腸重積をきたし肛門外に脱出した大腸癌の2例
野々垣 郁絵砂川 祐輝中川 暢彦水野 亮古池 真也田上 鑛一郎
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キーワード: 腸重積, 大腸癌, 直腸脱
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2019 年 68 巻 1 号 p. 71-76

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抄録

 症例1:73歳女性。腹痛と肛門からの腸管脱出を主訴に受診。肛門外へ約10cm腸管が脱出し,先進部に腫瘤を認めた。CTでS状結腸が直腸内に進入し,同心円状構造target signを認めた。症例2:92歳女性。下血を主訴に受診。肛門外へ約5cm腸管が脱出し,先進部に腫瘤を認めた。CTで直腸の同心円状構造target signを認めた。2例ともCT所見・身体所見より大腸癌が先進したことによる腸重積と診断した。術前に徒手整復を試みたが還納できず,ハルトマン手術を施行した。症例1は術後経過良好で第36病日に退院となった。症例2は術後の離床が進まず麻痺性イレウスが遷延し,第80病日に退院となった。肛門外へ脱出した大腸癌による腸重積は整復できなければ腹会陰式直腸切断術が余儀なくされ,手術侵襲による合併症が懸念される。本病態は骨盤支持組織の脆弱した高齢者に多く,個々の症例に応じた術式選択が必要である。

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© 2019 一般社団法人 日本農村医学会
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