日本農村医学会雑誌
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研究報告
SGLT 2阻害薬の有効性と副次的効果についての検討
水谷 彰史鈴木 千波久保 淳一佐藤 公人
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2019 年 68 巻 2 号 p. 134-140

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抄録
 Sodium Glucose co-Transporter 2(SGLT 2)阻害薬は血糖低下作用だけでなく,副次的効果として様々な効果が期待されている。そこで,有効性と副次的効果について検討した。対象は2014年6月~2017年3月末。2型糖尿病患者に対しSGLT 2阻害薬が新規に投与された86症例。Body Mass Index(BMI)は28.69±4.91kg/m2。投与前,投与2か月後の比較で体重,BMI,ヘモグロビンA1c(HbA1c),アスパラギン酸アミノ基転位酵素(AST),アラニンアミノ基転位酵素(ALT),γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP),推算糸球体濾過量(eGFR),トリグリセリド(TG),尿酸(UA)に有意な低下,ヘマトクリット値(HCT),血中尿素窒素(BUN),クレアチニン(Cre),高比重リポ蛋白コレステロール(HDL-C)に有意な上昇が認められた。HbA1c,体重,AST,ALT,γ-GTP,BUN,低比重リポ蛋白コレステロール(LDL-C),UAの投与前と投与2か月後の変化量に有意な負の相関が認められた。投与前のHbA1cが高い患者でよりHbA1cが低下し,投与前の体重が重い患者でより体重の減少が認められた。以上のことからSGLT 2阻害薬はコントロール不良肥満合併2型糖尿病患者に有効性が高い可能性が示唆された。また,心血管イベントのリスク因子となるデータや肝機能検査値の改善が認められ,長期服用で心血管イベントの抑制に繫がる可能性があり,脂肪肝改善の可能性についても考えられた。しかし,HCTの上昇や腎機能の低下が認められたため,投与初期の水分補給や腎機能の継続したモニタリングが必要であると思われる。
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© 2019 一般社団法人 日本農村医学会
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