日本農村医学会雑誌
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研究報告
薬剤師病棟業務拡大による看護業務への影響
鈴木 千波小林 順子千葉 美由紀髙取 士剛水谷 彰史佐藤 裕資森田 眞樹子久保 淳一高木 明彦佐藤 公人
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2020 年 69 巻 2 号 p. 137-142

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抄録

 遠軽厚生病院は2018年4月より院外処方への切り替えを契機とし病棟での薬剤師業務の拡大を行なった。そこで薬剤師の病棟業務拡大による看護業務への影響について調査した。薬剤師病棟業務拡大として配薬管理,中心静脈栄養(Total Parenteral Nutrition:TPN)混注対象薬剤拡大,24時間継続投与する輸液製剤(末梢静脈栄養(Peripheral Parenteral Nutrition:PPN)を含む)の無菌調製を随時開始した。その影響を,2018年4月を業務拡大前,2018年5月から9月を拡大後とし,看護師の超過勤務時間,患者の問題点に焦点をあてたカンファレンス件数について比較検討した。また,現場で感じている変化については,ヒアリングを実施した。配薬管理は平均3,150件/月。TPN混注件数は対象薬剤拡大前25件/月であったが,対象薬剤拡大後は88件/月に増加した。また,24時間継続投与する輸液製剤の混注件数は296件/月であった。看護師の超過勤務時間は明らかな減少には至らなかったが,カンファレンス件数は47件/月から79.4件/月へ増加した。ヒアリングではカンファレンス開催回数が増加した,患者ケアの時間がより確保できるようになった等の肯定的回答が得られた。今回,薬剤師と看護師の協働により,それぞれの専門性を活かし,業務改善を実施し一定の成果を得たことは医療の質の向上や医療安全に貢献できたのではないかと考える。

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© 2020 一般社団法人 日本農村医学会
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