抄録
生活習慣改善の指導には,対象者の行動変容ステージ(ステージ)に応じた支援が必要と考えられている。しかしながら実際の多くの病棟では,急性心筋梗塞(AMI)患者への退院指導方法をマニュアル化し,ステージの関心期あるいは準備期にあるAMI患者に対して同様に実施していることが多い。このような指導方法では,退院後にステージの実行期への行動変容に有効性が低いのか,病棟の勤務を評価する上で明らかにする必要があると考えられる。本研究では,退院後の軽度な運動の実施(運動習慣)への行動変容に関して,AMI患者の退院時のステージ(関心期と準備期)により,退院後6か月時の実行期への行動変容(運動習慣の実施)に違いがあるのかを比較した。退院後6か月時の運動者数は,関心期群4名(23.5%),準備期群7名(43.8%)で,2群間に有意な差はなかった。本研究対象のAMI患者は退院時のステージが関心期と準備期の2群間に有意な差はないことより退院時の行動変容ステージに応じて指導を変えなくても,一定の行動変容達成が得られる可能性が示唆された。しかしながら,有意差はないが関心期群が準備期群に比べ行動変容率が低い結果であり,現在の指導方法は準備期群に効果的であるとも考えられた。