抄録
下顎智歯の根尖は下歯槽神経血管束と近接しており智歯抜歯により,オトガイ神経知覚異常が引き起こされる可能性がある。近年,歯科用コーンビームCTの普及により歯科口腔外科疾患の診断にCBCT画像を用いられるようになってきた。今回下顎埋伏智歯抜歯を行なった症例において,CBCT画像所見とオトガイ神経知覚異常発現との関連性について調査した。
対象は2016年3月から2019年3月の間に下顎埋伏智歯抜歯を施行した患者345例401歯で,平均年齢は33.9±14.6歳(16〜81歳)であった。全症例パノラマX線写真撮影を行ない,抜歯後にオトガイ神経知覚異常のリスクがあると判断した症例にCBCT撮影を行ない,CBCT非撮影群と比較検討した。
CBCT画像は下顎智歯が下顎管に最も近接する位置で下顎管の変形度を4タイプに分類し評価した。
CBCT撮影群は69例89歯でオトガイ神経知覚異常は5.7%に,CBCT非撮影群では0.64%に認められた。CBCT撮影群で下顎智歯と下顎管が接触していないものが51例に認められた。
下顎管が変形している症例ではオトガイ神経知覚異常が起こりやすいことが示唆され,CBCTはオトガイ神経知覚異常の予見に有用であると考えられた。