抄録
今回,保存的に治療した門脈ガス血症を伴う虚血性腸炎を3例経験したので報告する。
症例1は84歳,男性。倦怠感,嘔吐,上腹部痛で救急外来受診した。症例2は72歳,男性。頚椎損傷でリハビリ病院入院中だったが,2日前から下痢,臍部痛が出現し転院となった。症例3は89歳,女性。上腹部痛,嘔吐で救急外来受診した。すべての症例でCT検査から門脈ガス血症を伴う虚血性腸炎と診断し,バイタルサインは安定していた。保存的治療の方針とし,3例とも経口摂取可能となり退院もしくは転院した。
門脈ガス血症は,腸管壊死など重篤な疾患により出現する予後不良な徴候とされてきたが,近年では,保存的に治療し軽快する症例の報告も多くなってきている。門脈ガスを伴う虚血性腸炎に対しては,全身状態などを考慮した上で,保存的治療が選択され得ると考えられる。