日本農村医学会雑誌
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症例報告
陳旧性陰嚢内血瘤の1例
小林 史岳髙橋 佐智衛井村 仁郎
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2021 年 70 巻 1 号 p. 47-52

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抄録
 陰嚢内血瘤は精巣固有鞘膜内の血液貯留と定義され,通常は急性の変化である。稀に慢性経過をとるものがあり,陳旧性陰嚢内血瘤と呼ばれている。
 症例は55歳男性で,高血圧,糖尿病に対し,当院内科へ通院していた。当科受診3か月前に,はっきりとした外陰部への外力を得ることなく,右陰嚢腫大を自覚した。その後も右陰嚢腫大が続いていたため,当科を受診した。
 右陰嚢は小児頭大に腫大していた。画像検査上精巣腫瘍は否定的だったので穿刺したところ550mlの古い血性の排液があった。出血源の検索と治療のため,手術を行なった。陰嚢内の癒着は強固で,鞘膜は不整で強く肥厚していた。悪性中皮腫などの可能性も考慮し,可及的に近位で精索を切断し精巣を摘除した。病理組織診断はEncapsulated hematoma with cholesterin granulomaで,陳旧性陰嚢内血瘤と診断した。
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© 2021 一般社団法人 日本農村医学会
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