抄録
症例は77歳,女性。3か月前からの全身倦怠感と食思不振を主訴に,当院を受診した。造影CT検査で胆嚢腫瘍と肝臓内に多発する腫瘍を認め,入院とした。診断と治療方針決定のため,入院2日目に胆嚢腫瘍に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法(Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration。以下,EUS-FNA)を施行したところ,その病理診断結果は低分化型腺癌であった。全身化学療法を検討していたが,病理診断を待つ間に食思不振が徐々に悪化し,積極的な治療は希望されずBest Supportive Careの方針となった。EUS-FNAから15日後に自宅退院となり,EUS-FNAから31日後に永眠された。本症例では化学療法につなげることができなかったが,胆嚢病変に対するEUS-FNAは病理組織学的検査において有用な方法と考えられた。