日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
症例報告
胆嚢病変に対する超音波内視鏡下穿刺吸引法で診断し得た胆嚢癌の1例
高橋 幸治
著者情報
ジャーナル フリー

2021 年 70 巻 1 号 p. 43-46

詳細
抄録
 症例は77歳,女性。3か月前からの全身倦怠感と食思不振を主訴に,当院を受診した。造影CT検査で胆嚢腫瘍と肝臓内に多発する腫瘍を認め,入院とした。診断と治療方針決定のため,入院2日目に胆嚢腫瘍に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法(Endoscopic ultrasound-guided fine-needle aspiration。以下,EUS-FNA)を施行したところ,その病理診断結果は低分化型腺癌であった。全身化学療法を検討していたが,病理診断を待つ間に食思不振が徐々に悪化し,積極的な治療は希望されずBest Supportive Careの方針となった。EUS-FNAから15日後に自宅退院となり,EUS-FNAから31日後に永眠された。本症例では化学療法につなげることができなかったが,胆嚢病変に対するEUS-FNAは病理組織学的検査において有用な方法と考えられた。
著者関連情報
© 2021 一般社団法人 日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top