日本農村医学会雑誌
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症例報告
無熱性痙攣を契機に診断に至った血管輪の1例
横井 碧中村 蓉子石井 卓
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2022 年 71 巻 1 号 p. 51-55

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抄録
 血管輪は大動脈が気管や食道を取り囲み,圧迫する先天異常である.先天性心疾患の1〜2%と頻度は低いが,啼泣や哺乳に伴い致命的な呼吸不全を来す可能性があり,吸気性喘鳴の鑑別として重要な疾患の1つである。
 症例は生下時より吸気性喘鳴を認め,軽度の喉頭軟化症の疑いとして経過観察されていた。生後5か月時にチアノーゼとあえぎ呼吸が先行する無熱性痙攣を来たし,救急搬送された。頭部CTと脳波からは,頭蓋内の器質的疾患やてんかんは否定的であった。単純胸部CTで下部気管の狭窄と右側大動脈弓が疑われ,造影CTで血管輪の診断に至った。血管輪による気道狭窄のために低酸素発作を生じ,痙攣を来したものと考えた。
 吸気性喘鳴を呈する症例では血管輪を鑑別に挙げ,心エコーや造影CTなどの精査を行なう必要がある。本症例の経過につき,文献的考察を交えて報告する。
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© 2022 一般社団法人 日本農村医学会
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