日本農村医学会雑誌
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症例報告
気虚に対して処方した補中益気湯が長時間睡眠者の睡眠時間短縮に奏功した1例
大石 愛奈髙橋 慎治
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2022 年 71 巻 1 号 p. 69-72

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抄録

 患者は36歳女性。冷え性であり,また口唇ヘルペスを繰り返していた。平均睡眠時間が13時間で,睡眠時間確保困難時には日常生活に支障が出るため他院睡眠外来を受診,長時間睡眠者と診断された。35歳で第1子出産。産後1か月にも口唇ヘルペスが出現し,悪露が3か月間継続した。36歳で第2子出産。第1子出産後と同様,産後に繰り返し口唇ヘルペスが出現し,悪露流出も継続していた。診察では腹部緊張は軟弱で,易疲労性,易感染性であることから気虚と診断し補中益気湯内服開始とした。2週間後に悪露が減少し繰り返し出現していた口唇ヘルペスが出現しなくなった。また気虚症状改善に伴い,5時間ほどの睡眠で日中眠気を感じることはなく体力維持できるようになり長時間睡眠の治療にも繋がった。本症例のように気虚に対して使用されることが多い補中益気湯が,気虚関連症状の改善とともに長時間睡眠者の睡眠時間短縮により,生活改善に寄与する可能性がある。

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© 2022 一般社団法人 日本農村医学会
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