日本農村医学会雑誌
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原著
沖縄県北部地域住民の脂肪肝罹患状況とPNPLA3一塩基多型との関連
花城 和彦本村 純砂川 昌範
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2022 年 71 巻 4 号 p. 309-320

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抄録

 沖縄県は脂肪肝有病率が本邦において最も高いため,疾患感受性遺伝子であるpatatinlike phospholipase domain containing 3(PNPLA3)の一塩基多型(rs2896019)との関連を調べた。解析対象者として,健診受診者178名から36名(男性18名,女性18名)の肝腎コントラスト陽性者,年齢・性別を対応させた38名(男性19名,女性19名)の陰性者の計74名を抽出し,結果を横断研究に用いた。女性に比べて男性の肝腎コントラスト陽性率が高かった(p=0.0020)。PNPLA3 SNP解析では,TTの比率は16.2%,GT/TGは58.1%,GGは25.7%であった。女性では,肝腎コントラスト陽性者のBMIおよび体脂肪率は陰性者に比べて高値を示した(p=0.0003,p<0.0001)。女性の体脂肪率(%)では,TT(29.8±7.1)に比べてGG(41.0±6.5)が有意に高かった(p=0.0203)。肝腎コントラスト陽性の有無を従属変数とした多重ロジスティック回帰分析では,リスクアレルG数(調整オッズ比4.549,p=0.0073)と体脂肪率(同1.085,p=0.0329)において肝腎コントラストとの有意な関連がみられた。沖縄ではPNPLA3のリスクアレル(G)の保有率が84%と他地域に比べて高率であり,脂肪肝を発症しやすい遺伝的背景があると考えられた。

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