日本農村医学会雑誌
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症例報告
横行結腸,小腸,膵臓,脾臓とともに全胃が脱出しUpside down stomachを呈する食道裂孔ヘルニアに併発した小腸イレウスに対し保存的治療を施行した1例
杉山 恵みり徳山 泰治小塩 英典川尻 真菜西村 幸祐石原 和浩
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2022 年 71 巻 4 号 p. 342-347

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抄録
 症例は80歳代後半,女性。数日前からの嘔気および食思不振,便秘症状が改善せず,近医から当院へ紹介された。CTにて開大した食道裂孔より全膵・脾臓・横行結腸・小腸・全胃が縦郭から左胸腔内に脱出し,腹腔内で小腸が拡張しイレウスの状態であった。Upside down stomach(以下UDSと略す)を呈するⅣ型食道裂孔ヘルニアと診断し保存的治療を開始したところ,イレウスは改善し経口摂取が可能となった。その後のCTで全膵・脾臓・横行結腸・小腸・全胃の脱出は持続しているが,5年前撮影されたCTでも同様の脱出所見を認めていることから,手術は施行せず退院してフォローすることになった。その後1年半経過しているがイレウスの再発なく経過している。
 UDSは手術適応となることが多いが,本症例のごとく多数の臓器が脱出した状態で経過観察を行なっている症例報告は少なく,文献的考察を加えて報告する。
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© 2022 一般社団法人 日本農村医学会
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