日本農村医学会雑誌
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症例報告
集学的治療を受けた小児卵巣未分化胚細胞腫の1初産婦例
久我 貴之重田 匡利矢野 由香池下 貴広
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2023 年 72 巻 4 号 p. 319-324

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抄録
 小児卵巣未分化胚細胞腫の集学的治療後に自然妊娠され,陣痛が自然発来し,経膣分娩出来た症例を経験したので報告する。症例は38歳女性。中学生の時,腹部膨満,発熱,呼吸困難で当院小児科を受診した。CT検査で巨大腹部腫瘤と診断され大学病院小児科に紹介された。紹介先では,右卵巣悪性腫瘍,未分化胚細胞腫疑いと診断,家族の希望を踏まえて妊孕性を考慮した治療方針とし,右卵巣腫瘍摘出術および腹部リンパ節摘出術を施行,左卵巣を温存した。術後病理組織学的検査で卵巣未分化胚細胞腫,リンパ節転移陽性,腹水細胞診classⅤ,stageⅢcと診断された。術後BEP化学療法が施行され,その後は当院小児科に,成人後は当院外科に定期通院となり,再発なく経過した。術後12年で正常月経を認め,術後24年9か月を経て妊娠疑いで当院産婦人科を受診,妊娠成立が確認された。妊娠34週6日目に破水し,検査の結果同日大学病院に緊急転院となった。妊娠35週+1日目に経膣分娩で出産した。出産後の経過においては母子とも明らかな異常を認めず,出産後1年9か月現在母子とも健康である。Child及びadolescent and young adult(CAYA)世代女性癌患者における妊娠出産は重要な問題の1つである。女児では,予後と妊孕性を十分考慮して患者側とともに治療方針を決定することが重要である。
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© 2023 一般社団法人 日本農村医学会
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