日本農村医学会雑誌
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症例報告
レジオネラ感染との関連が疑われた十二指腸炎の1例
齋藤 僚太鈴木 哲熊谷 洋駒場 福雄木佐 健悟
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2024 年 73 巻 2 号 p. 110-115

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抄録
 感染性腸炎は起炎菌により罹患部位が異なっておりその特徴を踏まえる事で,起炎菌を推定する事が可能とされているが,十二指腸を主体とした感染性腸炎の報告は少ない。今回レジオネラ感染との関連が疑われた十二指腸炎の症例を経験した。
 症例は66歳,男性。入院5日前より発熱が出現,3日前より水様性の下痢を認め,その後症状改善なく当院を受診した。来院時より低酸素血症を呈し,入院時のCT検査では両肺野に非区域性のすりガラス陰影ならびに十二指腸を主体とした腸管壁肥厚を認めた。採血結果や胸部画像所見などから,レジオネラ肺炎を疑って尿中レジオネラ抗原を提出したところ陽性となり,診断に至った。その後抗菌薬治療により下痢症状や十二指腸の腸管壁肥厚の改善を認め,入院19日目に退院となった。
 レジオネラ肺炎は腹部症状が主訴となりうる事があり,十二指腸炎を認めた場合はレジオネラ肺炎を想起する事も必要であると考えた。
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