日本農村医学会雑誌
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症例報告
肺転移を認めたSTUMPの1例と予後予測因子としてのATRX遺伝子の検討
小松 紗友美遠藤 誠一秋田 真友竹谷 陽子松岡 竜也市川 麻以子坂本 雅恵島袋 剛二
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2025 年 74 巻 1 号 p. 30-35

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抄録
 Smooth Muscle Tumor of Uncertain Malignant Potential(STUMP)は子宮平滑筋腫瘍の中で良性と悪性のどちらの基準も満たさない腫瘍であり,子宮摘出後でも再発する可能性がある。近年再発因子の1つとして,クロマチンリモデリングタンパクをコードするATRX遺伝子の消失が報告された。
 症例は62歳1妊1産,59歳の時に骨盤内腫瘤に対して腹式単純子宮全摘術と両側付属器摘出術を施行し,STUMPと診断した。62歳の時に胸腔内の多発腫瘤を認め,子宮STUMPの再発と診断した。手術適応はなくがんゲノムプロファイリング検査を行なったところ,ATRX遺伝子の変異を認めた。有効な治療法はなく再発から6か月後に死亡に至った。後方視的に手術検体の免疫染色を追加し,ATRX(-)を確認した。
 免疫染色によるATRXの発現は予後予測因子となりうることが示唆された。
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