日本農村医学会雑誌
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長野県における乳房集団検診の現状と超音波検査の意義について
柳沢 昭吾細谷 栄司水嶋 丈雄船崎 善三郎
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1985 年 34 巻 1 号 p. 50-56

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抄録

長野県における乳房集団検診は昭和56年より漸くその緒につき, 成果を収めつつある。われわれもその一環を担い乳癌の早期発見につとめているが, 現在までの状況を報告すると同時に, 検診に威力を発揮している超音波検査の意義について述べた。
本県の乳房集検は全県下を対象に医師による触診を第一次検診としているが, 2台の検診車による超音波診断 (ポラロイド写真) を補助診断法としているところに特徴がある。ことに医師過疎地域では, 外科専門医以外の応援を得なければならず, 腫瘤を触れた受診者を精密検査へ送る, いわゆるふりわけ診断にポラロイド写真が大変貢献した。そして初年度癌発見率0.10%は先進県なみであり, 次年度は0.06%とやや低下でしたが, 昭和58年度は0.08%と再び上昇した。しかも触診に不慣れな医師でも超音波検査を補助診断として行なうことにより, 充分乳癌の集団検診を実施できることが実証された。
超音波診断については, ポラロイド写真は乳癌集検用に適しているが, 1方向のみではなく2方向スキャンを採用すべきである。精密検診にはやはり超音波フィルム診断が有用であり, その際腫瘍後方エコーにより病理組織診断まで推し進めることにより, 癌診断率を高めることが出来る。

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