日本農村医学会雑誌
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パラコート中毒マウスの致死率に及ぼすアスコルビン酸およびSODの影響
米満 孝聖長尾 正崇角 美奈子太田 順一郎江川 久枝二塚 信
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1986 年 35 巻 1 号 p. 67-71

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抄録
パラコート (Pq) 中毒患者に対する積極的治療法の検討を目的として, マウスを用いた急性毒性実験を行なった。
Pqの毒性発現機序がスーパーオキサイド産生に引き続く膜脂質の過酸化によるとする説をもとに, 過酸化膜脂質の正常化とスーパーオキサイドの除去を目的として, Pq中毒マウスにアスコルビン酸およびスーパーオキサイドディスムターゼ (SOD) を静脈内投与した。治療効果の指標として, 体重変動および累積死亡率を用いた。
その結果, アスコルビン酸投与群では未処置群に比べ累積死亡率曲線の初期勾配がやや小さかったのみで, 10日間の累積死亡率に大きな上は認められなかった。一方, SOD投与群では未処置群に比べ10日間の累積死亡率が大きく, SODによってPqの毒性が増強される結果が得られた。これはスーパーオキサイドとSODとの反応によって生じる過酸化水素の毒性によるものと推測した。したがって, Pq中毒の治療の目的でSODを単独で用いることはかえって中毒症状を悪化させることも考えられ, SODとカタラーゼの同時投与などについて検討を加える必要がある。
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