日本農村医学会雑誌
Online ISSN : 1349-7421
Print ISSN : 0468-2513
ISSN-L : 0468-2513
検診と腫瘍マーカーの基礎的・臨床的検討
柳沢 昭吾池田 昌伸松島 松翠
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 35 巻 2 号 p. 152-156

詳細
抄録
集団検診のさいに, 血液の一部を利用して腫瘍マーカーを測定して癌の第一次スクリーニングができるのではないかと期待されているが, はたして実用上有効なマーカーはあるだろうか。それには, まず現行の腫瘍マーカーの正常値, 基準値を検討し, それに加えて各疾患の臨床値を測定して比較検討する必要があると考えた。とりあげた5項目の腫瘍マーカー, CEA, AFP, フェリチン, SCC, CA19-9は, いずれも当院で臨床検査実施中のもので, その結果は, 各マーカーには特有の傾向があり, CEAは大腸進行癌, AFPは肝癌, フェリチンは肝・肺癌, SCCは扁平上皮癌, CA19-9は膵癌の診断に役立つことがわかった。しかし癌特異性は必ずしも高くなく, 癌スクリーニングに用いる場合は慎重を要すると思われた。今後は, 原発性肝細胞癌の診断にAFPとフェリチンのコンビネーションアッセイが有用であったように, 各マーカーの組み合わせや, 他の血液・尿一般検査の結果とマーカー測定値とを組み合わせるなどして, 集団的癌スクリーニングの道をひらく方向があると考えられた。
著者関連情報
© (社)日本農村医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top