日本農村医学会雑誌
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血液透析患者の死亡原因についての検討
石山 剛三浦 義昭
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1989 年 37 巻 5 号 p. 970-975

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抄録
当院において, 昭和44年より昭和61年末までに, 慢性腎不全にて血液透析を施行した患者のうち, 死亡した109例の死亡原因について検討した。(1) 死亡原因として, 心不全が最も多く (25.7%), 脳血管障害 (19.3%), 感染症 (17.4%) の順で, これら3疾患で62%を占め, 次いで突然死 (10.1%) が多かった。(2) 心不全による死亡は, 透析導入および死亡年令が比較的高いもの (とくに60才以上), また, 透析開始1年未満のものに多く, 5年以上の長期透析例ではごく少数であった。高令透析患者では透析導入時より心循環系合併症の厳重な管理が必要と考えられる。(3) 脳血管障害による死亡は, その大多数が脳出血によるものであり, 透析期間が5年以上における死亡原因としては最も多く (45%), その割合は全国統計よりも明らかに高値であった。今後の脳出血予防対策としては, 透析患者においても, 高血圧の管理とともに, 食生活の改善も重要と考えられた。(4) 感染症による死亡は, 透析開始1年末満に多く, 5年以上ではほとんどみられなかった。また, 50才以上で透析に導入され, 感染症により死亡した11例中6例が結核症によるものであり, 透析患者の感染症については結核症を常に念頭におくことが必要と考えられた。(5) 5年以上の長期透析における死亡原因として, 突然死が脳血管障害に次いで30%を占めた。今後, 長期透析患者が増加するにつれ, 突然死がさらに問題となってくるものと考えられる。
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