日本農村医学会雑誌
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農漁村における男性問題飲酒者の飲酒行動上の特性
全国縦断アンケートから
堀川 彰坂東 玲芳
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1991 年 40 巻 4 号 p. 930-936

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抄録

全国8地区で共通アンケートを用いた飲酒実態調査を行ない, 農漁村の男性の問題飲酒性と飲酒行動との関連を検討した。
調査対象者は, 帯広・土浦・静岡・広島・山口・徳島・愛媛・鹿児島の各地区に在住の男性計2,024名 (平均年令50.6才, 農林水産業従事者が約半数, 以下, 事務職管理職技能職の順で, この4職種で全体の8割超) であった。
共通アンケートの調査項目は回答者の社会的属性 (年令, 職業等) を問う項目, 飲酒頻度, 飲酒場所, 飲酒理由, 健康上の注意事項等の飲酒行動に関する項目, 飲酒の問題性を測定するKAST (久里浜式アルコール症スクリーニングテスト) などの項目であった。
KASTで測定された問題飲酒性と, 飲酒頻度および飲酒量・飲酒理由・習慣的飲酒開始年令・飲酒場所・健康上の注意事項・健康上の注意事項の実行状況・適量に関する認識等の飲酒行動との関連の検討を行ない, 以下の結果を得た。
問題飲酒者は, そのほとんどが常習飲酒者であり, 飲酒量も概して多く, 飲酒理由としては正常飲酒者と同様な理由をも肯定するが, いくつかの理由においては正常飲酒者と異なった傾向を示し, 10代から習慣的飲酒を始めた者の比率が比較的高く, 飲酒場所は家庭内・家庭外両方の者が多く, 自宅外で飲酒する頻度が高く, 健康上の注意事項に関しては正常飲酒者とあまり変わらないものの, その実行状況ははなはだ悪く, 自己の適量を多く評価する傾向が認められた。

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