滋賀県湖北地区の菊栽培農家20人に対して,「かぶれ」症状と菊栽培に関する聞き取り調査と皮膚科学的検診を行った。菊栽培以後「かぶれ」を経験しているものは13人おり, その内8人は菊栽培以後初めて「かぶれ」を経験していた。「かぶれ」との関係のある菊栽培作業としては,「下葉取り」や「収穫」・「出荷調整」作業等, 菊との接触が濃厚な作業が指摘されていた。パッチテストの結果は, 20人中13人が菊あるいは農薬に陽性であった。菊栽培以後「かぶれ」を経験している13人については, 10人が菊あるいは農薬に陽性であった。一方,「かぶれ」の原因としては菊より農薬を挙げるものが多く, 菊栽培作業では農薬散布時ほど服装や汚染予防に注意が払われていなかった。その原因としては, 農薬の危険性に関する教育は行われても, 菊と接触皮膚炎との関連については教育が行われていなかった。菊栽培農家の接触皮膚炎予防のためには栽培当初からの衛生教育と営農形態や作業態様に則した具体的な防護方法の指導が必要と考えられた。