日本農村医学会雑誌
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寝たきり予防対策の効果
宮原 伸二
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1994 年 43 巻 1 号 p. 36-40

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抄録
健康づくりとはそれぞれの人の生活レベルを上げ, QOLを向上させる運動である。それゆえ, 寝たきり予防対策を講じることは, 保健センター活動として重要な課題になる。今回は高知県西土佐村で行ってきた寝たきり予防対策とその効果について報告する。西土佐村は人口4,250人, 65歳以上の老人比率25%を占める過疎農村である。寝たきり (ランクB, C) 老人数は昭和60年から平成3年までの各年31人, 25人, 31人, 35人, 29人, 18人, 19人であり, 昭和63年以降減少傾向にある。また, ランクCは, 昭和60年の22人が次第に減少して平成2, 3年では6人になっている。全老人に占める在宅寝たきり老人率は昭和60年は3.8%, 平成3年は1.9%である。在宅寝たきり予防対策としては以下の4点を推進してきた。
1. 年間200回以上におよぶ健康学習の開催
2. 高血圧者に対しての食事療法や服薬の徹底
3. 脳卒中の発症後の適切な入院治療と早期リハビリの実践
4. 退院後のリハビリと各種訪問活動
これらの活動を継続的に行うことにより在宅寝たきり老人が減少したと思う。人間に死があるかぎり, 寝たきりをゼロにはできない。しかし, 適確な支援により寝たきり予防は可能である。
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