日本農村医学会雑誌
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肝細胞癌発症までの自然経過における成因別遡及的検討
小谷 和彦
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キーワード: 肝細胞癌, 成因, 自然経過, 飲酒
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1995 年 43 巻 5 号 p. 1061-1064

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抄録

近年C型肝炎ウイルス (HCV) 関連抗体の測定が臨床応用され, 肝細胞癌 (HCC) の成因の把握は容易になった。そこでHCC発症までの経過について, 特に成因の面からB型肝炎ウイルス (HBV) 関連群とHCV関連群とに分けて臨床疫学的な差異を観察した。HCCの臨床診断時年齢はHBV関連群よりHCV関連群が高く, 女性はより高齢の傾向があった。遡及的に各慢性肝疾患の進展期間をみると成因により大差はなかったが, 女性が長期を要する可能性はある。同じ飲酒習慣では, 各肝疾患の進展期間に成因差は認められず, 飲酒習慣の差により同じ各肝疾患の進展を示すものの期間を比べると, 成因によらず86g/日以上では短期の進展傾向は窺えたが有意とはし得なかった。

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