日本農村医学会雑誌
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劇症肝炎の経過をたどったキノコ中毒の1例
法医学的考察を含めて
平松 靖史品川 晃二高畑 統臣佐藤 俊雄水田 玲美権守 邦夫宮崎 哲次小嶋 亨
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1998 年 47 巻 2 号 p. 145-149

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抄録
アマニタトキシン (キノコ毒) 中毒による劇症肝炎を報告する。71歳, 男性, 下痢を主訴にして来院。入院時の血液生化学検査でGOT518U/L, GPT333IU/L, BUN77.3mg, Cre 7.0mgと急性の肝腎障害を認めた。意識レベルは清明であったが, 入院後, 劇症肝炎を来たし血漿交換等の治療に抵抗し死亡した。又一緒に毒キノコ中毒になり死亡した妻は司法解剖され, 採取された血液, 脳, 肝臓の組織からキノコ毒であるα-amanitinが検出された。司法解剖でキノコ毒を証明しキノコ中毒死を証明した法医学的報告は今までなく, その検査結果も合わせ報告する。本例も死後肝生検で致命的劇症肝炎像を証明した。
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