整形外科と災害外科
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膝窩部の嚢腫性病変によって下肢症状を生じた2例
生越 智文南崎 剛賀川 武尾崎 まり
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2008 年 57 巻 1 号 p. 84-86

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抄録

【目的】下肢症状の原因が,膝窩部の嚢腫性病変であった2例について報告する.症例1:63歳男性.誘因なく間歇性跛行と下肢の冷感を訴え,当科を受診した.膝窩動脈の血管外からの圧排による症状と考え,狭窄部を展開したところ膝窩動脈の外膜嚢腫を認めた.血管拡張術を施行し,間歇性跛行と冷感は共に消失した.症例2:24歳女性.1週間前より膝を屈曲すると膝窩部痛が出現した.その後,夜間痛が出現し,当院を受診した.MRIで膝窩部に直径1.3cmの嚢腫性病変を認め,関節包から発生したガングリオンによる膝窩動脈の圧迫と考えた.エコー下に穿刺除圧したが症状が変わらないため,ガングリオン摘出術を施行し,下肢症状は消失した.【結論】間歇性跛行や下肢痛は脊柱管狭窄症または閉塞性動脈硬化症によって生じることが多いが,膝窩部の嚢腫性病変が原因となる事も稀でなく,注意深い診察が必要であると思われた.

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© 2008 西日本整形・災害外科学会
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