日本農村医学会雑誌
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47 巻 , 2 号
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  • 福島 哲仁, 坂本 巌, 原 俊雄, 礒邉 顕生, 塩飽 邦憲, 山根 洋右
    1998 年 47 巻 2 号 p. 83-89
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    島根県の斐伊川水系を結ぶ環境フォーラムの7年間の取り組みを評価し, 自然生態系の中で共生する健康文化のまちづくりの課題を検討した。
    1. テーマの発展と参加者層の広がりの相互作用
    環境問題をテーマとした宍道湖フォーラムは, 当初最も大きな関心事であった「ユスリカ対策」を中心テーマとし, 多くの人々の参加を可能にした。参加者の幅の広がりは, テーマの広がりを促し, ユスリカ対策→ 水質保全→ 環境学習→ 流域ネットワーク→ まちづくりへと発展した。
    2. 健康文化都市プロジェクトの視点
    この環境フォーラムの取り組みは, 究極的に「自然生態系の調和」へと発展する方向性を持っており, これと結合することで, 健康文化都市プロジェクトは,「自然生態系に懐かれた健康文化都市」という視点でその実現を目指すことができる。
    3. 対立と共有化のプロセスによるネットワーク形成モデルと参加型行動研究
    最初に環境と生活の利害に関する立場性の違いを明確にすることで, 漁業従事者と農業従事者, 市民と行政, 上流域と下流域住民等の対立構造を明らかにし, 次いで自然生態系に依存しながら生きていることへの想いを共有化し, さらに再び立場性の認識を行うことで, 共通する目標とそれぞれの役割が明確となる。生態系の多様で複雑な問題を解決するために, このネットワーク形成モデルを活用し, 住民, 行政, 研究者が協働する参加型行動研究を進めることが重要であると考える。
  • 倉持 元, 小林 勲
    1998 年 47 巻 2 号 p. 90-95
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    C型肝炎ウイルス (HCV) 感染は, 短期的および長期的に肝障害の誘因となるほか, クリオグロブリン血症や糸球体腎炎を併発することが知られている。今回, HCV感染による肝障害の存在が, クリオグロブリン血症および尿異常 (蛋白尿, 血尿) の合併に影響を及ぼすか否かをHCV感染者 (男性140人) において検討した。クリオグロブリン血症は, HCV感染者の11.4%に認められた。しかし, 全ての保持者のクリオグロブリンに対する血清反応は弱陽性であった。肝障害を持つ患者のクリオグロブリン血症合併率は, 肝障害を持たない患者より有意に高かった。また, 尿異常はHCV感染者の10.0%に認められた。肝障害の有無による尿異常合併率には有意差は認められなかった。さらに, クリオグロブリン血症の合併の有無による尿異常合併率にも有意差は認められなかった。これらの所見は, HCV感染による肝障害とクリオグロブリン血症の合併には関係があることを示唆している。しかし, 腎障害の合併は肝障害, クリオグロブリン血症の有無には関係はないと考えられた。
  • 熊木 昇二, 山本 浩一郎, 湯本 一彦, 栗林 秀樹
    1998 年 47 巻 2 号 p. 96-100
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1992年11月から1996年11月までに当院で手術を行った70歳以上の大腿骨頸部骨折113例113肢の歩行能力を中心とした治療成績を検討した。その結果, 66肢, 60.0%が受傷前の歩行能力に回復していた。しかし85歳以上の超高齢者では大多数が受傷前の状態には回復していなかった。合併症では痴呆の合併例で成績不良であった。そのため痴呆の発現を防ぐためや, すでに痴呆のある老人ではそれを悪化させないため, 術前の牽引中から作業療法や言語療法を取り入れるべきである。骨折型では内側骨折Garden分類stagem, IVで成績が良好であった。これはstageIII, IVには早期離床, 早期荷重ができる人工骨頭置換術を原則としており, 人工骨頭置換術で成績が良好であることに関係している。それに対して外側骨折不安定型で成績が不良であった。これは外側骨折には骨接合術を原則としているため, 整復のできない不安定型に対しEnder pin固定術を用いていることに関係している。同固定術は固定力が他の方法と比べやや弱いため, 術後の安静期間が長く荷重も遅れ気味となる。そのため痴呆が発生したり, 進行しやすく, 歩行能力が回復しづらいと考えられる。以上から整復ができない不安定型に対する手術は, Ender pin固定術でなくより強固な固定が得られ早期離床, 早期荷重可能な人工骨頭置換術の選択も考慮すべきである。
  • 山内 啓子, 星野 洋, 松園 サヨ子, 杉村 夏子, 牧野 なみじ
    1998 年 47 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    内視鏡を介したと考えられたMRSA感染の症例を経験し, それ以前に行っていた内視鏡の洗浄方法 (旧洗法) に関して細菌学的に検討した。1名検査終了後に旧洗法で洗浄した内視鏡には46検体中10検体に細菌を検出したため, 日本消化器内視鏡技師会のガイドラインに準じた洗浄, 消毒方法 (新洗法) を取り入れ, 実践した。細菌学的に検討したところ, 新洗法では細菌の残存を認めなかった。しかし, 新洗法では洗浄消毒時間が延長したために検査効率は著しく低下し, 看護スタッフの仕事量の増加, 消毒剤であるグルタルアルデヒド (GA) の頻回使用によるスタッフへの薬害を認めた。改善策として自動洗浄機を増設し, ブラシ洗浄以後の行程を自動洗浄機を用いて行ったところ, スタッフの仕事量, GA曝露が軽減された。しかし, 自動洗浄機の洗浄, 消毒回数の増加により洗浄機内のGA製剤タンク内濃度が比較的早くより低下することが判明した。そのためGA有効濃度を保持するためには, 適宜濃度を確認する必要があった。ガイドラインに準じた洗浄消毒法は細菌学的には非常に有効であるが, 実践上幾つかの問題点があった。
  • 小野 多知夫, 加藤 修, 辻 茂希, 飛田 忠道, 津久井 一
    1998 年 47 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    1987年から今日までに我々は15例の遊離空腸移植による頸部食道再建を行った。原疾患は下咽頭癌8例, 頸部食道癌4例, 中咽頭癌2例, 喉頭癌1例である。手術は耳鼻科 (頸部郭清/下咽頭喉頭頸部食道全摘), 外科 (空腸採取/頸部への空腸吻合), 血管外科 (血管吻合), 耳鼻科 (創の閉鎖/気管孔作成) の順になされ, 平均手術時間は15時間半, 空腸の平均阻血時間は4時間半であった。術後トラブルは空腸壊死1例, 咽頭側吻合部の縫合不全1例, 食道側吻合部のリーク1例, 通過障害3例, イレウス2例, 空腸瘻穿孔1例であった。本法を成功させるには何よりもチームプレーが大切と思われた。
  • 吉崎 由希子, 岩浪 浩美, 藤岡 裕子, 坂本 喜美子
    1998 年 47 巻 2 号 p. 116-120
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    パーキンソン症候群悪化に伴い, 嚥下障害をきたし経口摂取困難となった患者に対し, 看護介入していくことにより食べる意欲を持たせ, 経口摂取を可能とし, 退院に移行することができたのでここに報告する。
    患者は81歳女性, 末期のパーキンソン症候群であり, 医師からは「年齢, 疾患的にも経口摂取は無理であり, 退院はできないだろう」と診断された。そこで私達は, 人間として生きる欲求である食べることを最優先に考え, 口腔内マッサージや, おしゃぶりこんぶをしゃぶらせる等の嚥下訓練を行い, 次に患者の状態に合わせ, 食事形態, 量の調整をしていった。
    その結果, 患者は食欲が出, 経口摂取可能となり, 自宅退院に移行することができた。難病患者に対する看護効果は大きいことが実感された。
  • 池田 せつ子, 川井 光, 増沢 紀恵子, 高見沢 靖子, 宮入 建三
    1998 年 47 巻 2 号 p. 121-128
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    当施設が実施している, 集団健康スクリーニングにおける総コレステロール値の経年推移について検討するために, 測定に伴う変動の補正を試みた。
    検討期間は1979年から1996年までの18年間である。
    測定変動の把握には精度管理試料であるプール血清の月別平均値を用いた。1993年6月使用開始のプール血清を基準とし, プール血清のロット間差を補正しながら過去に遡り, 同一レベルでみたプール血清値を求めて変動を検討した。集団健康スクリーニングにおける総コレステロール平均値の変化は, こうした測定レベルの変動と近似していたため, 測定の偏りを補正できる可能性が示唆された。測定の偏りの補正には, 同一レベルでみたプール血清値が, 二次標準血清 (脂質専用の標準血1清) のレベルに適合できるように換算係数を算出し, 次いで各年度の集団健康スクリーニングの性別年齢別総コレステロール平均値を, 得られた係数により補正した。
    総コレステロール値の経年推移は, 18年間に29歳以下は男性約10mg/dl, 女性約6mg/dl, 30歳代から50歳代では男性約18~20mg/dl, 女性約16~17mg/dl, 60歳以上は男女とも約10~13mg/dlの上昇を示していた。
    また1991年から1996年までの上昇の比率は, 1981年から1990年の10年間に上昇した比率よりも, やや小さい傾向が認められた。
  • 中村 シゲミ, 山田 チヨ, 堀 裕子, 西川 悦子, 小沼 真理, 小笠原 洋子, 清水 レイ, 小林 和夫, 殷 煕安, 赤塚 昌一
    1998 年 47 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    現在わが国では, 透析療法を受けている患者は, 16万人以上といわれており, 新たに透析療法を開始する患者が年々増加している。そこで当院では, 慢性腎不全の進行を抑制し, 透析導入をできるだけ遅らせる為に, 高エネルギー, 低タンパク質食の実行が長期継続できるように, 1994年10月より腎不全セミナーを開始した。
    腎不全セミナーでは, 病態の理解を深める事, 低タンパク米飯 (ひかり) 使用などを目的に, 集団患者指導を行っている。今回, 腎不全セミナーを開始し3年経過したため, 従来の腎不全食配分との比較, 長期継続の可能と効果について比較検討を行った。
    腎不全セミナー参加者と外来指導のみのコントロール群において9か月~12か月経過後から差の傾向が見られた。腎不全セミナー参加者で低タンパク米飯使用群の血清クレアチニン逆数の27か月平均低下率は0.029で安定しており, 腎不全セミナー参加者で低タンパク米飯未使用群の血清クレアチニン逆数の27か月間平均低下率は0.166 (p<0.05), 外来指導のみのコントロール群の血清クレアチニン逆数の27か月間平均低下率は0.262であり腎不全セミナーの影響効果が認められた。今後も腎不全セミナーを充実させ継続し患者のよりよい生活環境に貢献したい。
  • 鶴嶋 英夫, 亀崎 高夫
    1998 年 47 巻 2 号 p. 137-140
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    同時多発性頭蓋内出血の1例を報告する。症例は80歳男性で右片麻痺と意識障害を突然発症し来院した。高血圧症の既往歴があった。Computed tomographic (CT) scanが直ちに施行され, 左視床出血と左橋出血が確認された。入院後に施行された造影CTscan, magnetic resonance (MR) imageやMR angiographyでは異常血管と思われる所見は得られなかった。患者は保存的に治療されたが, 入院後2か月を経過しても意識レベルの改善は診られなかった。同時多発性頭蓋内出血の報告例は我々の調べ得た限りでは少なく, その予後も極めて不良であると思われた。
  • 羽原 理佐, 合田 吉徳, 永森 俤一郎
    1998 年 47 巻 2 号 p. 141-144
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    健康診断での糖尿病の診断においてHbAlcの測定が一般化するにつれて, 様々な要因によりその測定値が変化する症例を認めることがあるが, 今回我々は人間ドック受診時に境界型糖尿病にもかかわらず, HbAlcが異常低値である症例に対して等電点電気泳動法によりHb Malmo [β97 (FG4) His→Gln] を同定した。
    Hb Malmo [β97 (FG4) His→Gln] はスウェーデン, ドイツ, イギリスで数家系の報告があるが日本では本例が初例となる。
  • 平松 靖史, 品川 晃二, 高畑 統臣, 佐藤 俊雄, 水田 玲美, 権守 邦夫, 宮崎 哲次, 小嶋 亨
    1998 年 47 巻 2 号 p. 145-149
    発行日: 1998/07/20
    公開日: 2011/08/11
    ジャーナル フリー
    アマニタトキシン (キノコ毒) 中毒による劇症肝炎を報告する。71歳, 男性, 下痢を主訴にして来院。入院時の血液生化学検査でGOT518U/L, GPT333IU/L, BUN77.3mg, Cre 7.0mgと急性の肝腎障害を認めた。意識レベルは清明であったが, 入院後, 劇症肝炎を来たし血漿交換等の治療に抵抗し死亡した。又一緒に毒キノコ中毒になり死亡した妻は司法解剖され, 採取された血液, 脳, 肝臓の組織からキノコ毒であるα-amanitinが検出された。司法解剖でキノコ毒を証明しキノコ中毒死を証明した法医学的報告は今までなく, その検査結果も合わせ報告する。本例も死後肝生検で致命的劇症肝炎像を証明した。
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