日本農村医学会雑誌
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血清LDH値と超音波検査での変性所見による子宮筋腫と子宮平滑筋肉腫の鑑別診断に関する検討
竹内 悟南 晋
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1999 年 47 巻 5 号 p. 718-724

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抄録

子宮筋腫と子宮筋肉腫を鑑別することは, Gn-RHa治療を行うにあたって重要な問題である。子宮平滑筋肉腫では血清LDHが上昇することが報告されているが, 子宮筋腫, 特に変性のある子宮筋腫での血清LDH値については十分には検討されていない。そこで子宮筋腫232例, 子宮平滑筋肉腫3例, 脂肪筋腫1例, 乳癌の子宮筋腫内転移1例について, 血清LDH, 超音波所見, 病理所見, 臨床所見を検討した。
血清LDH値が異常高値を示したのは, 子宮筋腫1例/232例, 子宮平滑筋肉腫2例/3例, 脂肪筋腫1例/1例, 乳癌子宮筋腫内転移1例/1例であった。超音波所見で, 腫瘍変性が疑われたのは子宮筋腫15例/232例, 子宮平滑筋肉腫2例/3例, 脂肪筋腫1例/1例, 乳癌子宮筋腫内転移1例/1例であった。血清LDH値が異常高値を示した5例は全て超音波所見で変性が疑われた。子宮筋腫症例の内, 超音波検査にて変性がないと推定された症例と変性があると推定された症例でのLDH値には有為差 (p=0.0320) があったが, 子宮筋腫変性推定症例15例中血清LDH値が異常高値であったのはわずかに正常値を超えた1例のみであった。子宮筋腫と子宮平滑筋肉腫を鑑別する補助手段として血清LDH値を測定することは有用であると考えられた。

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