われわれは1995年から2000年までの6年間に当院で発作性房室ブロック (PAVB) と診断された連続9例 (男性3例, 女性6例, 45-78歳) の臨床症状, 12誘導心電図, Holter心電図, モニター心電図, 心臓電気生理学的検査 (EPS) の結果を比較検討した. ブロック部位は5例でHis-Purki功e系ブロック (H-PSB), 3例が房室結節性ブロック (AHB), 1例は不明だった. H-PSBでは1) QRSはしばしばwideで軸偏位を示し, 2) 房室ブロックは伝導比が変動しやすく, 3) PAVBは日中に洞頻脈, PQ時間一定から突然生じ, 4) 心室停止時間は長く失神発作を起こし, 5) アトロピンで誘発されやすかった. AHBは1) QRSはnarrowで, 2) PAVBは夜間PQ延長やPQ変動が先行し, 3) 心室停止時間は3-10秒で, 4) 通常のEPS, 副交感神経刺激手技, 薬剤, head-uptilt試験などでも誘発できなかった. 治療として9例全例にペースメーカーを植え込んだが, 心室停止時間が3秒程度のAHB例には別の管理法があったかも知れない.