リハビリテーション医学
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当院における心原性脳塞栓症患者の抗凝固療法に関する調査
徳永 誠桂 賢一渡邊 進橋本 洋一郎中西 亮二山永 裕明
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2005 年 42 巻 11 号 p. 772-777

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抄録

急性期病院から当院への転院時における心原性脳塞栓症患者の抗凝固療法が, 脳卒中治療ガイドライン2004 (ガイドライン) の推奨する範囲内にある割合について後ろ向き調査を行った. 対象は急性期病院から当院に転院してきた心原性脳塞栓症患者連続26例 (男性15例, 女性11例, 平均年齢70.3±13.6歳) である. 脳梗塞発症から当院入院までの日数は平均20.0±14.0日, 転院時の診療情報提供書に急性期病院でのプロトロンビン時間の国際標準比 (INR) 検査結果が記載されていた割合は65% (17例/26例), 急性期病院がINR目標値を指示してきた割合は38% (10例/26例) にすぎず, この10例の指示INRはガイドラインの推奨とは一致せず患者により異なっていた. 当院入院時のINRは1.1~3.2, 平均2.0±0.6であり, INRがガイドラインの推奨する範囲内にあったのは58% (15例/26例) であった. 当院入院中にINR>4.0となった患者は3例 (12%) で, ブコローム併用, INR検査不足が原因と考えられた. 当院退院においても8例 (33%) ではガイドラインの推奨する目標INRを外れていた. 脳梗塞患者が急性期病院からリハビリテーション (リハ) 病院へ転院する時期は今後全国的に早まり, 抗凝固療法が安定する前にリハ病院が脳梗塞患者を受け入れる機会が増えることが予想される. そのため急性期病院とリハ病院の医師は, 患者の抗凝固療法に関する情報を共有し, 抗凝固療法の問題点を把握し, ガイドラインに沿った治療を行う必要がある.

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© 2005 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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