リハビリテーション医学
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原著
経鼻経管栄養チューブが嚥下に与える影響
—嚥下回数,食塊残留·逆流への影響—
西 将則武原 格猪飼 哲夫宮野 佐年
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2006 年 43 巻 4 号 p. 243-248

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抄録

経鼻経管栄養チューブ(以下NGチューブ)が嚥下に与える影響について検討した.対象は健常成人15名.1)NGチューブなし,2)8 Fr NGチューブ留置,3)14 Fr NGチューブ留置,それぞれの状態でバリウム溶液5 ml,ゼラチンゼリーと寒天ゼリーを5 gずつ摂取し,嚥下造影検査(以下VF)にて各状態の嚥下動態を比較検討した.またNGチューブ留置による自覚症状をNumerical rating scaleにて評価した.NGチューブ留置によって全ての被検者が違和感および嚥下困難を訴えた.NGチューブの口径が大きくなるにつれゼリー摂取時の嚥下回数が増加した.NGチューブ周囲に食塊が残留する例や通過した食塊がチューブに沿って逆流する例も認めた.NGチューブの留置は嚥下に悪影響を及ぼし,口径の大きいものほどその影響が強いことが証明された.本研究は嚥下機能に問題のないものを対象に行ったが,嚥下障害患者においてはNGチューブの留置により誤嚥の危険性が高くなることが容易に推察され,経口摂取はNGチューブを抜去して行うことが望ましい.

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© 2006 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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