リハビリテーション医学
Online ISSN : 1880-778X
Print ISSN : 0034-351X
ISSN-L : 0034-351X
脳血管障害の体性感覚誘発電位
知覚障害の客観的指標としての有用性
鴨下 博
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 23 巻 2 号 p. 75-81

詳細
抄録
機能回復がプラトーに達するまで観察した脳血管障害(脳出血44名,脳梗塞22名)を対象とし,病巣部位運動および知覚障害とSEPの関連を検討した.大脳皮質に広範な病巣があるとき患肢の知覚と運動は重度に障害され,患側SEPは消失した.良好に運動機能が回復したにもかかわらず重度な知覚障害をのこした視床,内包後脚,橋背側部の全症例は,患側SEPが消失した.一方,重度な運動障害でも知覚障害が軽度な症例は,病巣部位にかかわらず健側と相似な患側SEPが記録できた.
以上,知覚伝導路に病巣があり重度な知覚障害のある全症例は,患側SEPが消失した.従ってSEPは脳血管障害の客観的な知覚障害の指標として有用と考える.
著者関連情報
© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top