抄録
肢切断障害者75名の退職後の実態調査を行い,長期的展望に立ったリハビリテーション活動の意義を検討した.退職後10年以内は就労が可能な健康状態が保たれているが,一方では日常活動量の減少と体重増加が目立ち,義肢装着の意欲が減退したことから義肢の装着,管理,適合状態の低下が顕著となった.さらに退職後の再就職が一般的になるに従い,破損したり不適合な義肢を常時装着する傾向が生まれ,切断肢の創傷の反復や難治化の原因となった.高齢化している肢切断障害者の義肢や,切断肢のフォローアップは就労状況と結びついて有機的なものとなり,また生活環境の低下に即した援助が福祉医療の立場から行われる必要がある.