リハビリテーション医学
Online ISSN : 1880-778X
Print ISSN : 0034-351X
ISSN-L : 0034-351X
脳卒中片麻痺患者の肩関節亜脱臼の検討
経時的変化について
猪飼 哲夫米本 恭三宮野 佐年小林 一成福田 千晶杉本 淳安保 雅博
著者情報
キーワード: 片麻痺, 肩関節亜脱臼
ジャーナル フリー

1992 年 29 巻 7 号 p. 569-575

詳細
抄録
脳卒中片麻痺患者にともなう肩関節亜脱臼の座位におけるX線学的評価を行い,経時的変化について検討した.骨頭下降率とAHI(肩峰骨頭間距離)比の間には有意の相関を認めた.胸椎部の側弯は亜脱臼群の約4割に認められ大多数は麻痺側凸を呈していたが,肩甲骨の下方回旋はわずか1例のみであった.肩関節痛とROM制限は亜脱臼群に多く,6ヵ月以上経過した症例に特に多く観察された.初診時にBrunnstrom stageがIII以上の症例に,また片麻痺の回復によりstageが上がってくる症例に亜脱臼が改善する傾向が認められた.亜脱臼が改善する症例が存在することは,早期の亜脱臼に対して,ポジショニングや筋促通の必要性が示唆された.
著者関連情報
© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top