リハビリテーション医学
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除神経筋の線維自発電位と動脈血酸素分圧との関係
出江 紳一
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1993 年 30 巻 2 号 p. 118-126

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抄録

ラットの除神経筋における線維自発電位(Fib)の発生に,酸素が果たす役割を明らかにする目的で以下の研究を行った.ラットの左坐骨神経切断1週後に,左長趾伸筋の筋電図検査を施行し,Fibを導出した.阻血によりFibは一過性に増加し,約20sec後より減少しはじめ,400sec後には消失した.血流再開によりFibは速やかに再出現した.血流を遮断して血漿の組成と等しい塩濃度および糖濃度の溶液(生理的溶液)を灌流した場合においても,Fibは阻血の場合と同様に消失した.阻血のみの場合でも生理的溶液を灌流した場合でも,Fib消失までの減衰様式と時間に差が認められなかった.また,調節換気下に動脈血酸素分圧を低下させたところ,常にFibの発火率が低下した.以上の結果より,Fibの発生は酸素供給に依存することが明らかになった.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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