抄録
立位保持可能なSMON患者と高齢者に重心動揺検査を行い,その立位能を比較し,重心動揺に影響する因子について検討した.SMON患者を歩行能で2群に分けそれぞれを高齢者群と比較した場合,歩行能がより障害されている杖歩行群で,重心動揺距離,面積が有意に大きく,皮質脊髄路などの障害の指標となる中枢運動神経伝導時間も有意に遅延していた.SMON患者では中枢運動神経伝導時間と重心動揺距離が高い相関を示した.SMON患者のうち杖歩行群では重心動揺は大きくなり,CMCTの遅延と重心動揺の障害が並行して出現することが明らかにされた.