リハビリテーション医学
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脳損傷者の離棟・離院:第2報
当院における対策実施前後の比較
橋本 圭司大橋 正洋小林 美佐子上久保 毅渡邉 修宮野 佐年
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2003 年 40 巻 6 号 p. 369-373

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抄録

当院では2002年1月より,脳損傷者の離院・離棟対策として,(1)「離院防止マニュアル」の作成とそれに沿った職員訓練,(2)アクセスコール設置,(3)ココセコムの装着,(4)リストバンドの装着,(5)名前シールの衣服貼り付け,(6)捜索用個人特徴書の作成,(7)病棟出入り口の扉の設置,などを行っている.調査対象は,2002年1~12月に当院入院した脳損傷者107名と各種対策が行われる前の2000年7月~2001年12月の間に同一病棟へ入院した脳損傷者140名.対策前後で,離棟未遂群が7.9%から15.0%へ増加,離棟群が22.1%から7.5%へ減少し,離棟予防については一定の効果をあげた.一方で,離院群の割合は減少しておらず,離院対策のココセコムが,簡単に取り外せてしまうという問題が明らかになった.開放病棟で認知障害者の管理を行う場合,家族へ各種対策について十分説明し,対策に限界があることの理解も得た上で,入院の同意を得る必要がある.

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© 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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