2008 年 45 巻 4 号 p. 236-241
回復期リハビリテーション病棟に入院した脳血管障害(CVD)および廃用症候群(DS)の症例を自宅退院例(subgroupI)と施設入所例(subgroupII)に分類し,各疾患群のsubgroup間で入院前の生活状況,入院後のADLの推移,疾病発症から回復期リハ病棟入退院までの時間的経過の比較検討を行った.CVD群 32 例中,subgroupI(19 例)とII(13 例)の間に平均年齢の有意差を認めた(65.4±14.0 歳 vs. 80.3±10.9 歳).入院前の生活状況は各subgroup間で差を認めなかったが,subgroup Iではsubgroup IIと比べて入退院時の総合FIM,運動FIMおよび認知FIMの各点数はいずれも有意に高く,運動FIMの移乗と移動の項目では退院時に有意な点数の改善を示した.一方,DS 22 例中,subgroupI(11例)とII(11例)に年齢差はなく(80.5±11.0 歳 vs. 81.5±11.2 歳),subgroup Iでは同居者数は多く,入院後に運動FIMのセルフケアと移乗の項目で点数の有意な上昇が認められた.自宅退院には運動ADLの向上が求められ,CVD群では年齢や認知症度が,DS群では同居者数がその影響因子として加わることが示唆された.