The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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巻頭言
特集『リハビリテーション治療に活かす非侵襲的神経刺激法 Up-To-Date』
  • 橘髙 千陽, 森山 利幸, 伊藤 英明, 佐伯 覚
    2022 年 59 巻 5 号 p. 456-460
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    非侵襲的大脳刺激法(NBS)である経頭蓋直流電気刺激(tDCS)と経頭蓋交流電気刺激(tACS)は主に脳卒中による機能障害に対して使用されている.tDCSは直流電流により神経細胞の静止膜電位を変化させることで神経細胞の興奮性に影響を与える.その一方で,tACSは交流電流により脳の周期的活動を同期させることで作用する.tDCS/tACSは使用機器や電極が同一であり,比較的安価で携帯性に優れており,経頭蓋磁気刺激(TMS)に比べ痙攣発作などの有害事象の報告は少ない.tDCSは単独での効果は少ないとされ,上肢ロボット訓練などとの併用でより効果が期待される.

  • 加賀谷 斉
    2022 年 59 巻 5 号 p. 461-466
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    末梢神経磁気刺激は電気刺激に比して疼痛が少なく,衣服の上からも刺激可能である.本邦で末梢神経専用の磁気刺激装置が販売されたために導入が容易になった.末梢神経磁気刺激の使用が想定される場面は,①自動運動に合致させた磁気刺激,②安静時の磁気刺激,③機能的「磁気」刺激の3つである.末梢神経磁気刺激が適応になるのは末梢神経の障害がない,あるいは軽度の障害の場合であり,禁忌としては心臓ペースメーカー挿入患者,刺激部位に近接する部位に取り外しのできない磁性体がある場合である.われわれは,舌骨上筋群に対しても末梢神経磁気刺激を行うために小型コイルを開発した.現在は「弱い磁気刺激」機器の開発に取り組んでいる.

  • 藤原 俊之
    2022 年 59 巻 5 号 p. 467-471
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    歩行運動は脊髄におけるlocomotor circuitの関与が大きい.このlocomotor circuitは脊髄反射回路をもとに構成されている.脊髄反射を利用することにより,ステレオタイプな歩行運動は再現が可能である.近年,このlocomotor circuitを刺激する脊髄刺激がリハビリテーション医学においても応用され,脊髄損傷患者や脳卒中患者の歩行障害に対する治療に用いられている.本稿では,歩行制御の神経回路について解説するとともに,脊髄刺激のリハビリテーション医学への応用について解説する.

  • 新藤 恵一郎
    2022 年 59 巻 5 号 p. 472-477
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    単相性4連発磁気刺激法(quadripulse stimulation:QPS)は,日本で開発され,4発の磁気刺激をバースト状に与え,5秒間隔で繰り返す手法である.バースト状磁気刺激の刺激間隔により,大脳皮質興奮性を促通・抑制し,刺激間隔5 msで促通性(QPS-5),刺激間隔50 msで抑制性が最も強い(QPS-50).種々ある非侵襲的脳刺激法の中で,QPSは,最も持続時間が長く,個体間変動が少ない刺激法である.

    われわれは,脳卒中後上肢麻痺患者2例に対してQPS-5を損傷半球に実施後,視覚誘導性自己運動錯覚や課題指向型訓練,HANDS療法を併用した治療2週間後に,麻痺側上肢機能の改善が得られたことを報告した.本稿では,QPSの効果やメカニズム,利点や欠点,今後の課題について概説する.

  • 芝田 純也
    2022 年 59 巻 5 号 p. 478-483
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    強力で小型のネオジム磁石を頭表に設置する経頭蓋静磁場刺激(transcranial static magnetic field stimulation:tSMS)は,その直下の脳皮質の興奮性を抑制する新しい非侵襲的脳刺激法(noninvasive brain stimulation:NIBS)である.当初は主に一次運動野(primary motor area:M1)に対して施行されていたが,近年ではそれ以外の脳皮質にも施行され,その神経調節作用が報告されている.従来のNIBSである経頭蓋磁気刺激(transcranial magnetic stimulation:TMS)や経頭蓋電気刺激(transcranial electrical stimulation:tES)と異なり,けいれん誘発,頭皮の火傷や不快感などのリスクはない.永久磁石のみを用い特殊な機器を必要とせず,安全・安価・簡便なNIBSとして,リハビリテーション医療分野への応用に期待が高まっている.

  • 久保 仁, 角田 亘
    2022 年 59 巻 5 号 p. 484-489
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    動物実験の結果として迷走神経刺激(VNS)は,神経新生や血管新生などを促し脳の可塑性を高めると報告された.よって,脳卒中患者に対する埋め込み型VNSの臨床応用が試みられたところ,これにより運動機能の回復が有意に向上することが確認された.ただし,埋め込み型VNSの臨床応用は,その侵襲性が大きな障壁となる.そこで,迷走神経耳介枝を非侵襲的に刺激する経皮的VNSの臨床応用が開始された.現時点ではすでに,経皮的VNSと上肢機能訓練の併用が脳卒中後上肢麻痺の回復に有用であることが示されている.経皮的VNSは,脳の可塑性を高めるneural plasticity enhancerになり得る.

  • 宇内 景, 川上 途行
    2022 年 59 巻 5 号 p. 490-495
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    非侵襲的に脳可塑性を誘導する手法である経頭蓋磁気刺激の1つであるpaired associative stimulation(PAS)は,末梢刺激部位とその中枢皮質への伝達にかかる時間にあわせて皮質への磁気刺激を行うことにより,当該脳部位の活動電位を増強/抑制し,脳可塑性を誘導する.初めてヒトへの応用が紹介された初期には一次運動野,感覚野への刺激に限られていたが,現在はそのターゲット部位は多様化し,診断・評価に応用されつつある.刺激間間隔,プライミングとなる条件を調整することにより,今後はリハビリテーション治療への応用が期待されている.

  • 山口 智史, 松田 雅弘, 春山 幸志郎, 高橋 容子, 藤野 雄次, 眞壁 寿, 藤原 俊之
    2022 年 59 巻 5 号 p. 496-502
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    ジャーナル 認証あり

    反復経頭蓋外磁気刺激(rTMS)の1つであるtheta burst stimulation(TBS)は,頭蓋上のコイルから特異的なパターン刺激を発生することで,短時間で標的脳部位の神経活動を変調することが可能である.TBSには,間欠的な刺激パターンであるintermittent TBS(iTBS)による促通効果と持続的な刺激パターンであるcontinuous TBS(cTBS)による抑制効果がある.特徴として,iTBSは190秒,cTBSは90秒の短い刺激時間で効果が得られる点にある.まだ効果に関する強固なエビデンスは確立されていないが,障害された脳に直接アプローチすることで,通常のリハビリテーション治療を促進する手法となる可能性がある.

原著
  • 阿部 紀之, 細矢 貴宏, 眞田 治朗, 始関 盛夫, 村上 峰子
    原稿種別: 原著
    2022 年 59 巻 5 号 p. 503-510
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    [早期公開] 公開日: 2022/05/16
    ジャーナル 認証あり

    目的:回復期リハビリテーション病棟のアウトカム評価における除外項目が実績指数に及ぼす影響を明らかにすること.

    方法:対象は回復期リハビリテーション病棟入院患者812名.目的変数を実績指数40以下,説明変数を実績指数の除外項目とそれらを組み合わせた計8カテゴリ(①運動FIM低値,②運動FIM高値,③認知FIM低値,④高齢,⑤運動FIM低値+認知FIM低値,⑥運動FIM低値+高齢,⑦認知FIM低値+高齢,⑧運動FIM低値+認知FIM低値+高齢),調整変数を性別,リハビリテーション算定区分,発症から入棟までの期間としたとしたポアソン回帰分析を実施し,除外項目がアウトカム発生に関わる罹患率比(incidence rate ratio:IRR)と95%信頼区間(confidence interval:CI)を算出した(有意水準:5%).

    結果:除外項目8カテゴリのうち,③認知FIM低値,④高齢,⑦認知FIM低値+高齢を除く5項目がアウトカム発生と有意な関連を認めた.アウトカム発生に対するIRRが最も高かったのは,②運動FIM高値で2.29(95%CI:1.41-3.69,p<0.001)であった.

    結論:回復期リハビリテーション病棟の実績指数除外患者の判定において,運動FIM高値であることは実績指数40を下回る相対リスクが高くなることが明らかとなった.一方で,認知機能低下や高齢者であること自体は実績指数で表すリハビリテーション治療効果を阻害する因子にはなり得なかった.

  • 大野 洋平, 伊藤 郁乃, 金川 泰大, 新藤 直子
    原稿種別: 原著
    2022 年 59 巻 5 号 p. 511-520
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    [早期公開] 公開日: 2022/05/16
    ジャーナル 認証あり

    目的:肺結核患者の嚥下機能を詳細に評価した報告は過去にない.嚥下内視鏡検査結果から嚥下障害の重症度および特徴について報告する.

    方法:国立病院機構東京病院で活動性肺結核と診断され嚥下内視鏡検査を実施した患者58名(平均年齢85.2)を対象とした.評価は入院後平均23日目に行い,嚥下障害の重症度はFOISで評価した.

    結果:対象者の平均BMIは17,平均Albは2.3 mg/dLと低栄養状態を認めた.平均Barthel Index 8.6とADLの低下を認めた.嚥下障害の原因となる基礎疾患を有する割合は34%であった.71%が重度の嚥下障害(FOIS 1~2)を呈しており,中等度群(FOIS>3)と比較して大幅にBarthel Indexが低かった.76%の患者でとろみ水の咽頭残留を認めた.抗結核薬の投与方法は経口が45%から35%に減少し,対象者の45%が死亡していた.

    結論:肺結核患者は重度嚥下障害を有する頻度が高い.嚥下機能を踏まえて適切な抗結核薬の投与方法を選択する必要がある.

  • 本島 直之, 紅野 利幸, 山本 澄子
    原稿種別: 原著
    2022 年 59 巻 5 号 p. 521-531
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    [早期公開] 公開日: 2022/05/16
    ジャーナル 認証あり

    目的:脳卒中リハビリテーションの治療において起立動作の介入頻度は高い.本研究は立位へ移行が困難で離殿を繰り返して起立を達成している脳卒中片麻痺者の起立動作の運動学・運動力学的特徴を明らかにすることを目的とした.

    方法:対象者は脳卒中片麻痺者26名とし,三次元動作解析装置によって計測された起立動作を後方視的に分析した.起立動作失敗時と成功時の離殿時の胸郭および骨盤と下肢3関節の運動学的指標と離殿前後の下肢3関節の運動力学的指標および離殿後の足部荷重割合を起立動作失敗時と成功時で比較した.

    結果:起立動作成功時は失敗時と比較して骨盤や胸郭の前傾,身体重心の前下方移動および離殿前後の股関節伸展モーメントが大きかった.しかし,非麻痺側荷重率に違いはなく,離殿前の股関節屈曲モーメントも出現していなかった.

    結論:離殿を繰り返して起立を達成している脳卒中片麻痺者の起立動作は,その可否によって離殿時の骨盤および胸郭前傾角度や離殿後の股関節伸展モーメントが異なっていた.このことは脳卒中片麻痺者の起立動作達成の要因を示唆しており,脳卒中片麻痺者の起立動作達成のためのリハビリテーション医療における評価および治療に有用であると考える.

短報
  • ―ARMT日本語版の作成と言語的妥当性の検証―
    那須 識徳, 山根 伸吾, 小林 隆司
    原稿種別: 短報
    2022 年 59 巻 5 号 p. 532-540
    発行日: 2022/05/18
    公開日: 2022/07/04
    [早期公開] 公開日: 2022/05/16
    ジャーナル 認証あり

    目的:高齢になり運転などの移動手段を変更する必要がある場合に,個人の感情面や態度の準備状況を把握するための自記式質問紙としてAssessment of Readiness for Mobility Transition(ARMT)がある.本研究ではARMT日本語版(ARMT-J)の言語的妥当性を検証することを目的とした.

    方法:「尺度翻訳に関する基本指針」を参考にして「順翻訳,調整,逆翻訳,逆翻訳のレビュー,認知的デブリーフィング,認知的デブリーフィングのレビュー,校正,最終報告」を実施した.順翻訳と調整は国内の作業療法士3名が行い,逆翻訳は翻訳会社に依頼した.逆翻訳のレビューと認知的デブリーフィングのレビューは開発責任者に依頼し,認知的デブリーフィングは地域在住高齢者5名を対象に行った.

    結果:順翻訳では5項目,逆翻訳のレビューでは3項目で意見の相違が確認された.特に項目11の原文である「Moving to a retirement community is too restrictive for my desired mobility.」の中の「retirement community」は日本では普及しておらず,翻訳者間で日本語訳に相違を認めた.海外では「retirement community」は高齢者のための居住地域または建物と定義されており,翻訳にかかわった作業療法士3名と開発責任者にて協議のうえ,日本語訳は「高齢者のための住宅」とした.さらに,開発責任者に確認を行い,加齢のため移動手段を変更せざるを得ない場合,居住地域を変更する必要があるという意味が含まれているという補足文書をつけ,ARMT-Jを完成させた.

    結論:本研究ではARMT-Jの言語的妥当性を検討し,妥当と思われる日本語訳を作成した.

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