目的:本研究の目的は脊髄損傷者を対象として脊髄再生医療に対するアンケート調査を実施し,その認識を明らかにすることである.
方法:2019年10月~2020年2月に,入院,通院で当院に受診歴のある脊髄損傷者を対象としてアンケート調査を実施した.脊髄再生医療の治療希望については,年齢,家庭復帰前後,重症度,損傷高位で層別化し比較した.
結果:99名から回答を得たが,男性が90.9%,平均年齢が52.8±14.8歳で,外傷が90.9%,損傷高位は頚髄が54.5%,胸髄が37.4%,腰髄が8.1%,AISはAが63.6%,Bが6.1%,Cが12.1%,Dが18.2%であった.脊髄再生医療に対しておおいに関心があるが66.7%,おおいに期待しているが54.5%であった.37.4%が積極的に治療を受けてみたいと答えた.層別化した比較では65歳未満,家庭復帰前,重症例,頚髄損傷者で積極的に治療を受けたい割合が多かった.回復を期待する機能は多かった順に,歩行が45.5%,巧緻性が20.2%,排便障害が17.2%であった.再生医療の知名度は,iPS細胞,骨髄間葉系幹細胞,自家嗅粘膜移植の順に高かった.情報源として多かったのは,テレビ,インターネットであった.再生医療の心配事として,効果や経済面についての関心が高かった.
結論:脊髄損傷者の約半数が脊髄再生医療によって歩行機能が回復することを期待している.
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