The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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巻頭言
特集『回復期リハビリテーション医療―これまでの20年,これからの20年―』
  • ―これまでの20年,これからの20年―
    近藤 国嗣
    2021 年 58 巻 5 号 p. 468-481
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    回復期リハビリテーション医療は回復期リハビリテーション病棟が制度化されたことによりストラクチャーとして大きく充足された.同病棟では,より高い機能,活動向上さらに社会参加を目標に,全職種が協働して病棟単位でリハビリテーション医療を実施する.一方,2016年度から導入された実績指数にて,ADLアウトカムが大きく求められることになった.2020年度調査でのFIM利得は24点であり,導入後7点上昇した.しかし一方で,プロセス構築,実績指数の導入によるFIMの独り歩き,リハビリテーション科専門医不足,高齢化,重症化といった問題も生じており,質的基盤はさらなる向上が必要である.

  • 岡本 隆嗣
    2021 年 58 巻 5 号 p. 482-489
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    2000年に介護保険と同期して制度化された回復期リハビリテーション病棟は,安静による廃用を防ぎ,ADL能力を向上させ,住み慣れた地域への在宅復帰が目的である.病棟配属されたスタッフの「生活」を重視したチーム医療が最大の特徴である.

    病棟では,医療・ケア・リハビリテーション・ソーシャルワークの情報やチームの目標がすぐに共有できる環境にあり,多職種合同のカンファレンスが日々開催され,毎日高密度の集中的リハビリテーション・ケアが行われる.これらの質を高めるためには,診療報酬で求められている指標以外に,情報共有,カンファレンス,リハビリテーション時間・職種間協業,退院調整,教育など,さまざまな面での病棟システムが必要である.

  • 松浦 大輔
    2021 年 58 巻 5 号 p. 490-496
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    回復期リハビリテーション病棟は,リハビリテーション治療の効果を最大化するために高密度なリハビリテーションを実施する.身体活動や自立度が大きく変化する過程には,転倒・転落や運動負荷に伴う急変などのリスクが生まれる.また,嚥下障害に伴う窒息や,麻痺や骨折後の深部静脈血栓症など,原疾患や障害により生じ得る合併症もある.安全で効率的なチーム医療が実践できるように,安全管理の視点からインシデントの傾向や病棟の状況を常にモニタリングし,多職種が協働するためのよりよい医療体制を志向し続けることが重要である.

  • 勝谷 将史, 道免 和久
    2021 年 58 巻 5 号 p. 497-504
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    歩行は人間にとって移動手段の中心であり,回復期リハビリテーション治療における歩行再建は最も重要な課題の1つである.装具は歩行トレーニングを行ううえで重要なツールであり,回復期入院中の装具療法は脳卒中ステージ理論に沿って歩行課題を設定し,歩行トレーニングを進める.そのためには,装具の目的を治療用装具と機能代償用(生活用)装具に大別し,使用目的に応じた装具の調整・処方を行い,装具療法を進める必要がある.また,装具療法のみならず生活期の装具難民を生み出さないためにも患者教育をしっかりと行うことが重要であると考える.

  • 大濵 倫太郎, 下堂薗 恵
    2021 年 58 巻 5 号 p. 505-509
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    本邦が世界に誇る回復期リハビリテーション病棟制度では多職種による集中的なリハビリテーション治療が可能で,ADL能力の早期向上とともに機能再建への取り組みが可能である.当教室では効率的で質の高い機能回復に主眼を置いた治療プログラム,すなわち脳卒中片麻痺に対する促通反復療法や持続的神経筋電気刺激の同時併用,振動刺激痙縮抑制法,リハビリテーション治療支援ロボットなどを開発,検証し,臨床応用してきた.さらに嚥下障害へも神経筋電気刺激を積極的に用いて,効率的かつ確実な機能再建を図っている.これらの機能を維持向上させるには病棟ADLにて積極的に使用することが必要であり,多職種間の緊密な情報共有が鍵を握る.

  • ―自動車運転と就労支援について―
    武原 格
    2021 年 58 巻 5 号 p. 510-514
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    現在,回復期リハビリテーション病棟入院料において,リハビリテーション実績指数が導入され,ADLを短い入院期間で改善させ,自宅などへ退院させることが重要視されている.しかし,高次脳機能障害は時間をかけて改善する場合も多く,就労年齢の高次脳機能障害患者のゴールは,家庭復帰では終わらない.可能な限り復職や新規就労をめざす.その中には,自動車の運転を必要とすることもあり,適切な対応が求められる.院内多職種の連携はもちろん,近隣の自動車教習所や就労支援機関など院外との連携構築も重要であり,回復期リハビリテーション病棟退院後の外来リハビリテーション医療の提供を引き続き行うべきである.

  • 吉村 芳弘
    2021 年 58 巻 5 号 p. 515-521
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    回復期リハビリテーション病棟では低栄養の合併が多い.低栄養は身体機能や日常生活動作,健康関連のアウトカムと負の関連がある.それゆえ,回復期リハビリテーション病棟では入院時に妥当性のある基準で低栄養の診断を行い,多職種での栄養管理を行う必要がある.

  • 川手 信行
    2021 年 58 巻 5 号 p. 522-527
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    回復期リハビリテーション病棟から生活期への移行に際しては,退院前カンファレンスなどで,患者の身体機能や能力退院先の生活環境を十分に考慮し,(住宅改修を含む)生活環境整備や人的手段の活用,各種福祉機器の導入,退院後のリハビリテーション医療の継続方法などを決定し,生活期に円滑に移行できるようにケアマネジャーなど生活期スタッフと綿密に連携することが必要である.また,退院後も定期的に障がいの変化を診断・治療する必要があり,地域包括ケアシステムの中で,地域リハビリテーションスタッフやケアマネジャー,保健師,介護福祉士の他,自治体や地域住民を含めた総合的・包括的な生活期リハビリテーション医療の構築が望まれる.

教育講座
リハビリテーション医学研究のこれから
連載 プラクティカルノート―リハビリテーション科専門医が習得すべき実践手技と結果の理解
  • 補永 薫
    2021 年 58 巻 5 号 p. 549-554
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    尿流動態検査は神経因性膀胱をはじめとした排尿障害における下部尿路機能の客観的評価として有用である.代表的な尿流動態検査である膀胱内圧検査では,膀胱内圧・直腸内圧を測定し,膀胱内圧-直腸内圧=排尿筋圧として排尿筋の機能を推定する.また,括約筋筋電図を併用することにより,尿道機能の評価も可能であり,X線透視下にビデオウロダイナミクスとして行うことで下部尿路の器質的な変化も抽出することも可能となる.

    結果の解釈にあたっては,排尿を畜尿期と排尿期に分けたうえで,膀胱機能および尿道機能を評価して方針を立てる.本検査は侵襲的検査であり,被験者の羞恥を伴う検査でもあるため,十分な検査手順の理解と事前の準備のうえで手際よく行っていくことが望まれる.

原著
  • ―システマティックレビュー―
    宮田 一弘, 朝倉 智之, 篠原 智行, 臼田 滋
    原稿種別: 原著
    2021 年 58 巻 5 号 p. 555-564
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    [早期公開] 公開日: 2020/12/17
    ジャーナル 認証あり

    目的:Mini-Balance Evaluation Systems Test(Mini-BESTest)とBerg Balance Scale(BBS)の臨床的に意義のある最小変化量(MCID)に関するシステマティックレビューを行った.

    方法:3つのデータベースとハンドサーチにて検索および収集し,Mini-BESTestとBBSのMCIDを報告している論文を特定した.受信者動作特性(ROC)曲線以外の方法でMCIDを決定している論文は除外した.

    結果:検索の結果,Mini-BESTestでは21編,BBSでは87編の論文が抽出され,取り込みおよび除外基準を満たしたのはMini-BESTestが4編,BBSが6編であった.ROC曲線下の面積が0.7以上であったMCIDはMini-BESTestが1.5~4.5点,BBSが3.5~6点の範囲であった.バイアスリスクの評価の結果,18点満点のうちMini-BESTestが10~16点,BBSが9~14点の範囲であった.

    結論:Mini-BESTestで1.5~4.5点,BBSで3.5~6点の得点変化には,複数の患者集団において臨床的な意味があり,介入効果の判断や目標設定をする際の基準となる可能性がある.臨床で用いる際には,疾患,病期,介入期間,人種などを考慮したうえで用いる必要がある.

  • 小関 弘展, 本田 祐一郎, 砂川 伸也, 松村 海, 坂本 淳哉, 沖田 実
    原稿種別: 原著
    2021 年 58 巻 5 号 p. 565-571
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    [早期公開] 公開日: 2021/03/15
    ジャーナル 認証あり

    目的:不動性骨萎縮ラットモデルを用いて,外固定期間と大腿骨骨幹部および骨幹端部の力学的強度との関連性を評価した.

    方法:8週齢のSPF Wistar系雄性ラット(64匹64肢)の両側後肢を膝関節伸展位で1,4,8,12週間ギプス固定し,摂食と荷重は許容した.各固定期間終了後,摘出した右大腿骨を精密万能試験機に設置し,3点支持曲げ強度試験による骨幹部での最大曲げ応力と最終破断応力,圧縮試験による大腿骨遠位骨幹端部の最大圧潰荷重値を計測した.コントロール群と不動群の2群間で統計学的に比較した.

    結果:3点支持曲げ強度試験の最大曲げ応力と最終破断応力は,固定期間4週以降で不動群が有意に低い値を示した.最大圧潰荷重値は,1~12週のすべての固定期間において不動群が有意に低下した.

    考察:関節の不動化により骨幹端部は1週後,骨幹部は4週後から骨萎縮により機械的強度が脆弱化する傾向を認めた.

症例報告
  • 宮本 詩子, 寺本 憲市郎, 徳永 誠, 坂本 佳, 椎葉 誠也, 山永 裕明
    原稿種別: 症例報告
    2021 年 58 巻 5 号 p. 572-577
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    [早期公開] 公開日: 2020/12/17
    ジャーナル 認証あり

    Herein, we report a case of a 49-year-old man with a history of bilateral hemiplegia caused by severe traumatic brain injury. During his stay in the convalescent rehabilitation hospital, he developed a flexion deformity of the 4th and 5th fingers of his right hand. Elbow palpation and ultrasonography showed that the ulnar nerve was dislocated from the elbow canal, and a nerve conduction study revealed that the conduction velocity was low in the right elbow. Thus, a diagnosis of cubital tunnel syndrome was made and an ulnar nerve transfer was performed to prevent progression. Prior to onset, an over-table had been used by the patient for daily activities such as sitting, training, and eating. Therefore, it was considered that the repeated use of the over-table plausibly exerted pressure on the dislocated ulnar nerve, leading to the onset of the cubital tunnel syndrome.

    As over-tables and wheelchair armrests are often used during rehabilitation, it is imperative to pay attention to elbow compression when using them in patients with ulnar nerve dislocation.

Secondary Publication
  • 遠藤 佐知子, 山名 隼人, 中原 康雄, 松居 宏樹, 伏見 清秀, 康永 秀生, 芳賀 信彦
    2021 年 58 巻 5 号 p. 578-584
    発行日: 2021/05/18
    公開日: 2021/07/15
    ジャーナル 認証あり

    目的:下肢切断後の転帰に関する大規模研究は少ない.また,下肢切断後の重要な転帰として再切断が挙げられるが,再切断に関するリスク因子は明らかになっていない.下肢切断後の在院死亡および再切断に関するリスク因子を明らかにするため本研究を行った.

    方法:本邦における入院患者データベースを用いて,下肢切断術を受けた患者13,774人の情報を抽出した.患者背景を分析し,多変量ロジスティック解析を用いて在院死亡および再切断に関連するリスク因子の解析を行った.

    結果:対象患者の平均年齢は72.4歳であり,63.1%(n=8,694)が男性であった.在院死亡率は10.8%(1,481/13,774人)であった.足部切断または下腿切断後の再手術率は10.1%(782/7,779人)であった(足部切断後では18.2%〔391/2,148人〕,下腿切断後では6.9%〔391/5,631人〕).再手術または在院死亡の有意なリスク因子は,高年齢,男性,末梢循環疾患,入院中のインスリンの使用,入院中の血液透析の実施,および多い併存疾患数であった.入院中の血液透析の実施が最も強いリスク因子であった(オッズ比:2.10,95%信頼区間:1.87~2.35).

    結論:下肢切断後の在院死亡率と再切断率は高く,下肢切断術を受けた患者がもつ慢性疾患の状態を反映しているものと考えられた.本研究にて明らかになった下肢切断後の在院死亡および再手術のリスク因子は,術後の予後の予測や切断高位の決定に寄与するものと考えられる.

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