胸神経と腰神経の三次元構造をSihler染色を施したラット標本で調べた.背側枝と腹側枝の外側枝は脊髄神経の基点(椎間孔部)より約1~2 分節,腹側枝の前枝は約7 分節,それぞれ尾側の点で体表筋を貫通して皮下に現れていた.皮下結合組織の中を背側枝皮枝は2~3 分節,外側枝皮枝では2~4 分節,尾側に向かっていた.体幹横断線と神経のなす角度は尾側分節ほど増大し,特に腹側枝で増加が顕著であった.今回明らかになった脊髄神経各枝の三次元構造と,すでに報告した皮節図と骨節図を総合すると,脊髄神経の支配領域は脊髄神経の起点を頂点とし尾側方向に広がる「変形した円錐面様」の形状をしていることが判明した.この三次元構造は脊椎脊髄疾患の診断と治療において新たな観点を提供すると思われた.