The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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人工股関節全置換術後に発生した脳卒中症例の検討
坂井 孝司中村 宣雄高尾 正樹津田 晃佑吉川 秀樹菅野 伸彦
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2009 年 46 巻 12 号 p. 793-798

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抄録

本邦では人工股関節全置換術(THA)後に発生する脳血管障害に関する報告はほとんどない.THA後に発生した脳卒中症例の頻度及び臨床的特徴を明らかにするため,1999 年から2008 年の間に施行された初回THA 1,267 例1,551 関節を対象とし後見的に調査した.周術期に脳梗塞3 例(0.19%)が発症し,2 例は2008 年の症例であった.女性2 例,男性1 例で,術前合併症として糖尿病・動脈硬化があり内頚動脈の高度狭窄が認められたもの1 例,心房細動1 例,卵円孔開存1 例であった.脳梗塞の確定診断の時期は各々術直後,術後2 日,術後5 日であった.全例運動麻痺が改善し脳梗塞発症後9 日以内にTHA後の運動療法・作業療法に復帰し,1例は術後4 週で,2 例は術後8 週で退院していた.本邦では近年欧米化した食生活を伴った超高齢社会を迎え,THA後の脳卒中予防は深部静脈血栓症予防と共にその重要性が強調されるべきである.

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© 2009 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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