2012 年 49 巻 12 号 p. 909-915
目的:筋疾患患者の身体機能と自動車運転状況を調査し,運転継続を希望する筋疾患患者の評価項目を検討した.対象と方法:2009 年12 月から2010 年4 月に当院を受診した運転経験のある筋疾患患者24 人を対象とした.医師が運転継続者の身体機能と運転模擬動作を評価し,運転状況を聞き取り調査した.また,運転中止者の中止理由を聞き取り調査した.結果:運転継続者15 人は,筋力低下の部位と程度にばらつきがあったが,上肢筋力が維持され,運転模擬操作を実施できた.5 人が手動運転装置を使用した.乗降車時に3 人,車いす積載時に6 人,合計7 人が介助を要した.車いす使用者はすべて積載に介助を要した.運転中止者9 人は,全員が筋力低下による運転操作困難を中止理由に挙げていた.結論:筋疾患患者は筋力と運転模擬動作の評価が重要と考える.手動運転装置使用は有効であるが,乗降車と車いす積載は改造による対応が困難で介助を要した.