The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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短報
かぎ爪様趾に対する長拇趾屈筋や長趾屈筋へのボツリヌス毒素施注時の注意点
竹川 徹持尾 健二郎佐藤 友治桂田 功一深田 実里青砥 桃子木下 一雄安保 雅博
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2015 年 52 巻 10 号 p. 615-620

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抄録

目的:長拇趾屈筋(FHL)と長趾屈筋(FDL)の,各足趾への支配の様態について検討することにより,下肢痙縮によるかぎ爪様趾の足趾変形に対するボツリヌス毒素で,より高い治療効果を得る.対象と方法:平均年齢62.3 歳(男性11 名,女性4 名)の15 名の脳卒中後遺症の患者を対象とし,FHLとFDLへの電気刺激時の,足趾の反応性筋収縮の様態について,観察研究として2 名の医師により調査,分析した.併せてご遺体3 体6 肢で,FHLとFDLについて,足関節から足趾への停止部付近を解剖した.結果:FHLの刺激では,観察できた全例で第1 趾の,92.3 %で第2 趾の筋収縮を認めた.FDLの刺激では,観察できた64.3 %に第2趾の筋収縮を欠いた.解剖では,FHL腱は,6 肢全例でFDL腱へ分枝,合流していた.結論:下肢痙縮患者のかぎ爪様趾の足趾変形に対して,FHL,FDLへボツリヌス毒素を施注する際,特に第2 趾を標的とした場合には,FDLのみならず,FHL等への施注も検討されるべきである.

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© 2015 社団法人 日本リハビリテーション医学会
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