2016 年 53 巻 12 号 p. 890-893
超高齢社会を迎え多くの人が運動器を80年以上使用することとなり,運動器の健康のための対策が必要になった.ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)はそのための概念で,運動器の障害によって歩行機能の低下をきたした状態をいう.生涯にわたる運動器の健康を守る工夫,早期発見,早期介入が重要である.
ロコモの認知度は現在47.3%と向上してきているが,20~30歳代での認知率が低く,若年者向けの啓発活動が課題である.若年者にも適応できる評価法として,ロコモ度テスト(立ち上がりテスト,2ステップテスト,自記式質問票ロコモ25)が開発され,早期発見へ大きなツールとなっている.運動器学としての幅広い取り組みが必要である.