加齢に伴う退行変性を基盤として中高年に発症する変形性膝関節症は,ロコモティブシンドローム(以下,ロコモ)へと進行し,要介護となる危険性が高い疾患である.有症者の多くが病院を未受診であるために,徐々に運動機能が低下してしまうことも多く,変形性膝関節症の予防,早期発見,早期治療が重要な問題となっている.早期から運動療法・体操の指導のみならず生活環境まで包括した適切な介入を行えば,十分に改善が期待できる疾患であり,疼痛の軽減,機能の維持・改善が目標となる.運動療法として,筋力強化訓練や関節可動域訓練,有酸素運動の1つとして柔軟性,バランス能力や筋力の獲得のための体操,体重管理の指導を継続し,進行させない工夫が重要となる.