抄録
近年,重症脳性麻痺児の増加に伴い運動機能に対する関心が薄れている.脳性麻痺児のための粗大運動能力分類システム(gross motor function classification system:GMFCS)レベルⅢ,Ⅳでは運動機能予後予測に則り,短期から長期の目標を立て,頻度の少ない通院にとどまることなく,通院頻度を増やす,親子入所や単独入所による有期有目的集中訓練や機能向上を補助する手術療法を含む各種痙縮治療を駆使して,10歳頃までに運動機能を日常で使えるレベルまで引き上げる必要がある.長期目標として,つかまり立ちや車いすへの移乗能力の維持が重要で,抱き上げての移乗は避けなければならない.そのために日常での支持立位・歩行や環境調整が重要となる.漫然と頻度の少ない通院,それも訓練室内だけの訓練で機能の向上する時期を逸してはならない.