2021 年 58 巻 8 号 p. 896-904
がん患者は栄養障害をきたしやすく,筋肉量を減少させる悪液質も問題となる.栄養障害と悪液質によって生じるサルコペニアは嚥下障害の原因となる.摂食嚥下障害により栄養障害・サルコペニアが悪化し,嚥下障害もさらに悪化するという悪循環をきたす.がん患者の嚥下障害のリハビリテーションでは,がん患者特有の栄養障害や悪液質に関する理解が不可欠であり,栄養療法とリハビリテーションを組み合わせたリハビリテーション栄養の視点・方法論が非常に重要である.がん悪液質に関して,2011年新たな定義がなされ,重症度により3段階に分類することが提唱された.代謝異常が軽度の早期の段階で診断し進行を予防する対応が重要視されている.また,サルコペニアの嚥下障害に関しては,本邦から診断フローチャートが発表された.がん患者の栄養障害,悪液質,サルコペニアと嚥下障害,リハビリテーションと臨床栄養の重要性に関して解説する.