2023 年 60 巻 1 号 p. 5-8
人工股関節全置換術(THA)は,the orthopaedic operation of the centuryと評されるように,20世紀で最も成功した整形外科手術で,1960年代から高齢股関節症患者の生活の質を劇的に向上させた.さらに,出血,感染,肺塞栓対策で,THAの安全性が高まり,固定法,材料やデザイン,手術法などが改良され,入院期間や後療法が短縮され,長期耐用性も向上した.今日では比較的若年の活動性の高い患者でも,動作制限しなくても脱臼せずに,良好な長期耐用性が見込めるようになった.ロボットやナビゲーションなどのコンピュータ支援技術も進歩し,個別の最適な術前計画でさらに安全性と機能性が向上している.