The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine
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障害児(者)施設でのCOVID-19クラスター発生における患者の障害特性とPCR検査結果についての考察
真野 ちひろ早川 幸代
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ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: 21034

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抄録

目的:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者数増加に伴い,障害児(者)施設などでの感染対策にも大きな影響が及んでいる.医療型障害児入所施設である当施設は,2021年1月に入所患者16名,職員26名,計42名が新型コロナウイルスPCR陽性(以下,PCR陽性)と判明し,クラスターを発生した.PCR陽性患者16名は幸い軽症で経過したが,施設内で隔離対策を講じたうえで看護を継続する必要があり,対応に苦慮した.患者の障害特性とPCR検査結果との関連について明らかにする目的で解析を行った.

方法:全入所患者の年齢,性別,知的水準,移動機能とPCR検査結果の関係について名義ロジスティック解析による多変量解析を行った.

結果:年齢,性別,知的水準とPCR検査結果に有意な関連性はなかったが,移動機能について寝たきり群に比べ移動可能群ではPCR陽性患者が統計学的に有意に多い結果となった.

考察:当施設では患者の大多数に知的障害があるうえ,個々の運動機能障害に応じた介助が必要であり,患者-患者間や患者-職員間の接触が濃厚となりやすい.特に移動可能群では生活空間の中で互いに密集・密着しやすい傾向にあり,このような入所施設特有の課題がクラスター発生の温床になったと推察された.知的障害や運動機能障害をもつ障害児(者)施設において,移動機能がある程度保たれている患者では,より感染対策が困難となる可能性が考えられる.

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© 2022 公益社団法人 日本リハビリテーション医学会

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